睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時呼吸障害とも呼ばれ、昼間の眠気、いびき、呼吸停止(無呼吸)などがあり、放置すると糖尿病や脳卒中の原因になることもあります。また、在宅酸素療法中の方も、睡眠時呼吸障害を伴っている可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群の
判定基準(診断テスト)

眠気度が高い場合、あなたが睡眠時に呼吸障害を起こしている可能性が高くなります。もし以下の状況になったら、あなたはどのくらいうとうとする(数秒〜数分眠ってしまう)と思いますか?

最近の日常生活を思いうかべてお答えください。ほとんどない0点、少しある1点、半々くらい2点、よくある3点として、合計点数で判定します。

設問
Q1
すわって何かを読んでいるとき(新聞、雑誌、本、書類など)
Q2
すわってテレビを見ているとき
Q3
会議、映画館、劇場など静かにすわっているとき
Q4
乗客として1時間続けて自動車に乗っているとき
Q5
午後に横になって、休息をとっているとき
Q6
すわって人と話をしているとき
Q7
昼食をとった後(飲酒なし)、静かにすわっているとき
Q8
すわって手紙や書類などを書いているとき

合計点数が11点以上の方は、
睡眠時呼吸障害の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群の
診断方法

睡眠時無呼吸症候群の診断には、現在のところ主に2つの方法が用いられています。

自宅で行える診断方法

簡易式診断器による方法
方法

睡眠中にパルスオキシメータだけを用い、睡眠時無呼吸症候群に伴う夜間の低酸素血症を観察する

長所

極めて簡便

短所

睡眠時無呼吸症候群の診断を正確に行うことが不可能

保険

適用

簡易式診断器イメージ

入院して行う診断方法

睡眠ポリグラフ(PSG)による方法
方法

1泊入院もしくは昼間8時間の睡眠検査が必要

長所

正確な診断や治療効果の判定には欠かせない検査

短所

多少自己負担額が増加する

保険

適用

睡眠ポリグラフ(PSG)イメージ

睡眠時無呼吸症候群の治療

CPAPを用いた治療方法

CPAP(鼻マスクを介し、閉息した気道に持続陽圧を付加する機械)は、中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群にもっとも適した治療方法です。この治療方法の長所は、気道の虚脱を防ぐ圧を加えることで、理論上完全に無呼吸をなくすことが可能となります。しかし、圧の負荷が大きくなればなるほど、眠りにくくなるため、中等症以下の睡眠時無呼吸症候群では、CPAPを用いることが、かえって睡眠を妨害することになる欠点もあり、専門的判断が必要です。CPAPは、保険が適用されます。

睡眠中に口腔内装具を装着する方法

口腔内装具による治療は最も安価な治療方法です。睡眠時無呼吸症候群診断書があれば保険適用となり、歯科医院にて作製できます。しかし、最適な口腔内装具が完成するまでには日数を要すること、睡眠時無呼吸症候群の治療に精通した歯科医師が少ないことが問題です。

また、たとえ最適な口腔内装具を用いても睡眠時無呼吸症候群の発生を完全に防ぐことができないという欠点があります。したがって、この治療方法は、軽症な睡眠時呼吸障害に適した方法と考えられています。

手術により狭くなった気道を広げてしまう方法

手術により狭い気道を広げる治療方法は、睡眠時無呼吸症候群の原因が手術で拡張できる気道部分であれば、確かに有効な治療方法といえます。しかし、睡眠中の気道の閉塞部位は個人差があり、睡眠時無呼吸症候群を完全に防止することができないこと、手術後、稀にむせる回数が増加することなど、治療上の無視できない問題があります。

したがって標準的な治療の流れは、第一がCPAP、第二が口腔内装具、第三が手術による治療ということになります。気道が狭くCPAPに支障がある場合、CPAPができるように手術療法を先行することもあります。

睡眠時無呼吸症候群と並んで
治療が必要な併存症

睡眠時無呼吸症候群は夜間、睡眠中に周期的に呼吸が停止することにより体の中の酸素が高度に不足した状態になります。また、同時に交感神経の作用が亢進した状態を作り出します。このようにして睡眠時無呼吸症候群は高血圧、脳卒中、不整脈、糖尿病などを併存することが知られています。

CPAP治療により昼間の眠気は大部分で改善しますが、同時に併存症の有無を調べてその治療をきちんと受けなければなりません。CPAP治療でも眠気が残る場合には、ナルコレプシー、特発性過眠症、むずむず脚症候群、上気道抵抗症候群、うつ病による睡眠障害など様々な病気が隠れている可能性がありますので、ご相談ください。