札幌の花粉症について

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花粉症は地域によって原因花粉が異なります。本州ではスギ花粉症が有名ですが、北海道にはスギがほとんど無いため、スギ花粉症はありません。ただ、シラカバ花粉症には注意が必要です。シラカバの木は、札幌の街路樹に大変多く、雑木林にも多く生育しています。さらに、シラカバの親戚でカバノキ科属の「ハンノキ」という樹木は、シラカバほど多くないものの、一月早く雪解けのころから花粉を飛ばしています。

大体人口の1、2割が花粉症を持っているようですが、花粉症の人がすべての花粉に反応するわけでもありません。カモガヤとヨモギという原っぱに生えてる雑草が原因となるものもありますが、その場合は男の子にやや多い傾向があります。これはおそらく原っぱで遊ぶ事が多く、より花粉に接する機会が多いためでしょう。りんご農家では、りんご花粉症がありますし(これは職業病ですね)なし花粉症なども報告されています。

誰もが等しく花粉症になるわけではありませんが、大体は毎年少しずつ花粉に暴露され、ある時期限界を越えて症状が発症します。そのため、花粉症は大人に多く、30歳過ぎると出てきやい疾患です。女性にやや多い傾向があり、症状の重さ軽さも人それぞれです。

ハンノキ花粉症(カバノキ科族 3月下旬~4月下旬)

春一番に出現する花粉症です。ちょうど道外でスギ花粉症が出現する時期に飛び始めます。 スギ花粉症と勘違いしている患者さんがいますが、これは北海道と道外の一部の地域(神戸の六甲山山麓など)で見られる花粉症です。

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ハンノキ
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ハンノキの雄花
シラカバ花粉症(カバノキ属 4月下旬~6月頃)

春に出現するのがシラカバ花粉症です。年によって多少の変動はありますが、日陰の雪もようやく解けてすっかり春らしくなるゴールデンウイークのちょっと前あたりから始まります。シラカバが下火になる5月の下旬から6月の上旬にかけてカモガヤ花粉症が始まります。

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シラカバ
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シラカバの雄花
カモガヤ花粉症(イネ科 5月下旬~10月頃)

カモガヤはイネ科の雑草で、もともとは牧草でした。この草は日本では北海道が発祥の地なのです。クラーク博士のころ牧草として輸入されたそうです。これが野生化して日本全国各地に瞬く間に広がりました。たいがいの原っぱや、都会でも道路の中央分離帯などに多く繁茂しており最もポピュラーな雑草です。一日の最高気温が20度を越える頃開花します。カモガヤはややアレルギー症状が強いようで、ひどい人は喘息の発作を誘発する場合があります。

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カモガヤ
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カモガヤの花
ヨモギ花粉症(キク科 8月中旬~10月頃)

真夏の一番暑い頃は花粉症は一休み。秋風の吹くお盆過ぎから、そろそろ秋の花粉症の季節に入ります。ヨモギも原っぱに生えています。目立たないけど貧弱な花が咲きます。(ヨモギ餅を食べても出ませんからご心配なく)これまであまり多くなかった、ブタクサやアワダチソウによる花粉症も最近見られるようになってきました。

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エゾヨモギ
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アワダチソウ
果実アレルギー (OAS:口腔内アレルギー症候群について)

花粉症に関連して最近にわかに注目を浴びてきた現象があります。果実アレルギー(口腔内果肉症)です。特定の果物や野菜を摂取した数分後に、唇や口の中、のどが痒くなったり、腫れたりする症状で、重症になると、のどの腫れによって呼吸が出来なくなったり、全身的なショック(アナフィラキシーショック)を招くこともあります。

カバノキ属花粉症(主にシラカバ花粉症)の約半数が果実アレルギーを合併することから、花粉症との関連が指摘されていましたが、最近の研究で「花粉症と関係のあるOAS*」と「花粉症と関係のないOAS」が存在することが判明してきました。カバノキ属、イネ科、ブタクサ属花粉などはOASと関係のある花粉症として挙げられます。

*1 口腔内アレルギー症候群(OAS):ある特定の果物や野菜を食べることにより、口・唇・喉などの口腔粘膜やその周辺組織に起こるアレルギー症状のこと

花粉症と関連したOASの原因となる果物・野菜の報告

リンゴ、サクランボ、ナシ、モモ、イチゴなどのバラ科の果肉が重要です。ほかにプラム、キウイフルーツ、メロン、ニンジン、ジャガイモ、セロリなども報告があります。

新鮮な果肉で発症します。熱がかかっていたり加工されていればほとんど問題ありません。アップルパイもモモの缶詰も大丈夫です。残念ながら現在のところ果物アレルギーが発症した場合薬の服用によっても制御は不可能です。いつの日かアレルギー治療が進歩したら食べることが可能になるかもしれませんが、しばらくの間は危うきには近寄らないようにしたほうが無難です。食べ過ぎると呼吸困難の危険もあります。