鼻血について

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鼻は外界から空気を取り入れる呼吸器の最前線で、1日3万回も呼吸して空気を温め、湿らせ、浄化するというエアコンのような役目をしています。そのため鼻の粘膜には、温室暖房機のパイプのように細い血管がたくさん集まっていますが、この細い血管は、汚い空気や冷たい乾いた空気などを吸い込んだり、ちょっとしたことでも出血しやすくなっています。また、鼻炎などで鼻の粘膜が痛んでいたり、鼻の中をいじったりすることで、さらに鼻血は出やすくなります。

鼻血は多くの場合、鼻の入り口から1.5センチ奥の部分(図1 キーゼルバッハ部)よりでます。この部分は粘膜のすぐ下に軟骨の板があり、特に傷つきやすくなっております。適切な処置がなされれば心配ない場合がほとんどです。ただし頻回に出血が繰り返されたり、一度に大量の出血がある場合には血液の病気(白血病、血友病、血小板減少症など)、肝臓、腎臓病、高血圧症、動脈硬化症などの疾患がないかどうか調べる必要があります。止血の基本は出血部位の圧迫です。適切な圧迫がなされれば、ほとんどの出血は止まります。

鼻血の止め方(キーゼルバッハ部からの出血の場合)

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  • 出ている鼻が右か左かを確かめます。両方いっぺんに出るという事は、ほとんどありません。

  • 清潔な綿球を出ている鼻につめます。近くに無い場合はティッシュペーパーでもかまいませんから、つめこみます。

  • 姿勢は椅子に座った状態で(心臓より鼻の位置を高くするため)、ややうつむき加減にして下さい。口を半開きにして、もしも喉に血が回るようならば口から血を吐き出します。

  • 次に鼻翼(鼻の先の左右の膨らんだ部分)を強くつまみます。約5分~10分つまみます。圧迫が上手にされていると、この時点で出血は止まります。

  • 上記の方法でほとんどの場合止まりますが、止まらない場合はただちに耳鼻咽喉科を受診して下さい。
  • 当院では、簡単な出血の場合、出血部位に薬剤を塗布してから、軟膏のついたガーゼで圧迫します。頻繁に繰り返す場合や、血管が怒張している場合には電気凝固処置を行います。局所麻酔の後に電気凝固器によって血管を処置します。その後止血剤を処方します。
  • 鼻の奥から出る鼻血は一般に止血処置が難しくなりますが、この場合でも適切に圧迫ガーゼが当たれば止血できます。ごく稀にコントロールが難しく、繰り返して出血する場合がありますが、この場合は入院が必要となり、他の入院可能な施設に紹介する事があります。